■周囲の手を借りて立ち直った現在
そんなふさぎ込む私を見かねてカウンセリングを勧めてくれたのは、意外にも私の実父でした。なんでも仕事の関係で臨床心理を専門とする人と仲良しだったこともあって、そうした職種に理解があったそうです。
恥ずかしながら「カウンセリングを受ける=精神の病気がある人=恥ずかしい」と勝手なイメージを持っていた当時の私より、頑固者と思っていた父のほうが柔軟な考え方だったようです。
さすがに最初は迷いましたが「このままじゃお前、子供といっしょに潰れるぞ」という父の言葉にハッと思い直し、父の知り合いと同じ団体に所属する都内のカウンセラーを頼ることにしました。
その先生はまだ見たところ三十代後半くらいで「こんなに若くて大丈夫かな?」と心配もしましたが、とても聞き上手な人でした。自分が話しているいろいろな悩みを否定せず、かといって全面的に肯定するわけでもなく、ただありのままに聞いてもらえることがこれほど気持ちの良いものだとは知りませんでした。
ダンナも忙しい中、スケジュールをやりくりしてカウンセリングに夫婦で参加し、現状の整理からこれからのことまで、辛抱強く話し合う機会が持てたことは大きかったと思います。ダンナも忙しさを理由にして家族のことを置き去りにしていたと気付かされたようです。
私自身も問題点がハッキリしていくにつれて「どうしてこんなことに…?」という思考から、「どう改善していけばいいか?」のポジティブな考え方に変えていくことができました。特に相談できる相手を近くに持つことが大切だというアドバイス通り、子連れで行ける地元の育児サロンへ参加するようになりました。そこは自分と同じ新米ママさんがたくさん集まるところで、共に悩みを共有しながら助け合っていけるすばらしい仲間が何人もできました。
それからの私は何度も子育ての障害に突き当たりましたが、以前のように一人でうじうじ悩んでストレスを溜めていくことはほとんどなくなりました。悩んでいるのは自分だけじゃない、悩みを相談できる仲間がいると思うだけで、心強い気分になることができたのが大きかったです。
ダンナも変わりました。会社側と辛抱強い話し合いを続け、うまく仕事と家庭に関われる時間の折り合いをつけることができたのです。あいかわらず平日の忙しさは続きましたが、週末はじっくり子供と私に向き合うだけの余裕ができました。
そうして最初のカウンセリングを受けてから十年あまり、我が家には二人目の男児も誕生し、すくすく育っていきました。今は長男が中学生、次男も小学校高学年になっています。
今の私は子育てに余裕が出てきたこともあって、育児サロンやボランティアへ積極的に「話を聞いてアドバイスする側」として参加しています。かつての自分と同じような悩みを持つ主婦も多く、まるで自分だけが孤立しているかのように思ってしまっている彼女たちの心情はよく理解できます。そんな人たちに自分の経験を含めながら、少しでもサポートしていくことが今では生き甲斐の1つになりました。
現代は昔にくらべてインターネットの普及でコミュニケーション手段が増えた一方、ご近所の付き合いはますます狭くなっているように感じます。そんな中でも子育ての悩み・ストレスは昔と変わらず増えていきます。自分を追い込んで潰れてしまう前に、誰に相談するか、どんな方法で悩みを解消していくかがますます重要になっている時代と言えるでしょう。
そこで私自身もできるだけ情報提供をしたいと思い、インターネットサイトの開設を思い立ちました。私たちは普段はあまり意識しませんが、その気になれば子育ての悩みを聞いてもらう相手は民間・行政のあらゆるところ存在しています。
まずは「自分は一人じゃない」ことに気付いてもらうこと。……それがこのサイトを作った動機であり、一番のテーマでもあります。
ここに載せたいくつもの相談機関、相談サービスが少しでも育児に悩む皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。